VL-800とVR-6000、何が違うのか——使い分け・データ合成・「持っているけど使いこなせない」への答え
2026/05/29
キーエンスの三次元測定機として、VL-800とVR-6000はどちらも非接触で3Dデータを取得できる装置です。しかし、得意なことが異なります。「どちらに依頼すればいいかわからない」という方も、「自社にVL-800があるが、うまく活用できていない」という方も、この記事を読めば整理できます。
VL-800とVR-6000、何がどう違うか
二つの機種は、測定の「得意な領域」が異なります。
VL-800は、3DスキャナにAIを搭載した三次元測定機です。対象物をステージに置くと、AIが自動でスキャン角度や照明条件を調整し、360度の全周スキャンを行います。測定精度は±10μm、繰り返し精度はσ2μmで、高精度な3Dデータの取得に強みがあります。測定範囲は広視野モードでφ300×H200mm、高解像モードでφ70×H50mmです。
黒色や金属光沢面も反射防止スプレーなしで測定できるWDR-CMOSを搭載しており、マーカーレスでデータを自動合成する機能も持っています。取得したデータからSTEPファイルへの自動変換や、CADデータとの照合比較も可能です。複雑な形状の部品、試作品、樹脂成形品の精密測定に特に向いています。
また、VL-800はJCSS(Japan Calibration Service System)にトレーサブルな測定精度を実現しており、専用のボールゲージやキャリブレーションボードを用いた校正と、校正証明書・トレーサビリティ体系図の取得が可能です。
VR-6000は、ワンショット3D形状測定機です。ステージに置いてボタンを押すだけで、面全体の形状・うねり・粗さを最速1秒で取得できます。測定エリアは最大300×150×70mmで、0.1μmの分解能を持ちます。断面形状の評価、平面度・粗さの測定、小〜中型部品の面形状取得に適しています。
まとめると、VL-800は「立体全周・やや大きめのワークを高精度にスキャンしたい」、VR-6000は「小〜中型部品の面形状・粗さ・平面度を素早く取得したい」という場面でそれぞれ力を発揮します。
どちらを選ぶか——用途から考える
ワークの特性と測定目的で判断できます。
全体形状を把握したい、リバースエンジニアリングに使いたい、複雑な立体形状を360度スキャンしたい——そういった場合はVL-800が向いています。実際の測定依頼を見ると、樹脂成形品、鋳造品、小型精密部品など、多様な素材・形状の案件でVL-800が選ばれています。
一方、表面粗さや平面度を評価したい、断面形状を確認したい、小〜中型部品の面形状を素早く取得したい——という場合にはVR-6000が向いています。
迷う場合は、ワークの情報(素材・サイズ・測定目的)をお伝えいただければ、こちらで判断します。機種選択は依頼側がする必要はありません。
VL-800とVR-6000を組み合わせる
どちらか一方に絞る必要もありません。VL-800とVR-6000はデータの合成が可能です。
旧世代のVLシリーズではVRとのデータ互換性がありませんでしたが、VL-800ではその互換性が実現されました。具体的には、VL-800で取得した全体形状データの中に、VR-6000で取得した高精細なデータを埋め込む形で合成できます。
これによって何ができるか。部品全体の形状は把握しつつ、特定の微細部位や複雑な表面だけをVR-6000の精度で解析できます。CADデータ化する際の精度も向上し、VL-800単体では表現できなかった細部のディテールもデータに含めることができます。
「全体も細部も一度に把握したい」という要求に、この組み合わせで応えられます。
VL-800を持っているが、使いこなせていない
自社でVL-800を保有しているにもかかわらず、測定プログラムが組めない、解析の方法がわからない、特定の形状への対応が難しい——そういった相談が届くことがあります。
機器を持っているからといって、すべての測定が自社で完結するわけではありません。測定プログラムの作成や解析には、機器の操作に慣れた人員と経験の蓄積が必要です。
VL-800を保有しているが活用しきれていないケースも含め、測定の内容や目的によってどのような対応ができるかは異なります。まずはご相談ください。「自社機器があるが、測定を依頼したい」という形での受託対応についても、内容を確認した上でお答えします。
相談のしかた
VL-800かVR-6000か、どちらが適しているか判断できなくても構いません。「こういうものを測りたい」という情報(素材・サイズ・測定したい項目)をお伝えいただければ、機種の選択から対応の可否まで、こちらから提案します。
データ合成の詳細や、VL-800活用に関するご相談も、お問い合わせフォームからどうぞ。
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